論語と算盤 渋沢栄一 [本]
日本資本主義の父と呼ばれる、渋沢栄一氏が日本で商売重視の資本主義が広まっていくに当たり、人として依るべき考え=道徳を、中国で孔子とその弟子達との言行をまとめた「論語」に求めました。
この本自体、今から100年以上前に書かれたと思えぬほど、ビジネス書としても秀逸な内容です。
資本主義は自分の利益さえ上がればよい、という考えに陥りがちですが、人として、社会の一員として利益と道徳の両立を語っているのは、今でいうESG、SDGsの考えにもつながっています。
それは2千年以上前に書かれ、今なお東洋思想に大きな影響を与えている、論語という、人としての道理に沿っているからでしょう。
この本ではよく徳川家康公のことが引き合いに出されています。
有名な遺訓として、以下が紹介されています。
「人の一生は、重い荷物を背負って、遠い道のりを歩んでいくようなもの、急いではならない。
不自由なのが当たり前だと思っていれば、足りないことなどない。心に欲望が芽生えたなら、自分が苦しんでいた時を思い出すことだ。耐え忍ぶことこそ、無事に長らえるための基本、怒りは自分にとって敵だと思わなければならない。
勝つことばかり知っていて、うまく負けることを知らなければ、そのマイナス面はやがて自分に及ぶ。自分を責めて、他人を責めるな。足りない方が、やり過ぎよりまだましなのだ」
有名な一行目は聞いたことがありましたが、あの家康公でさえ、こんな我慢していたのだと思うと、会社やビジネス上で腹が立って感情のまま行動しそうな時に、グッと耐えることなんて、何でもないことと気付かされます。
ちなみに、この家康公の言葉のほとんども論語からきていると、渋沢栄一氏は解説されています。
論語では、
「指導的立場にある人物は、広い視野と強い意志力を持たなければならない。なぜなら、責任が重く、道も遠いからである。」
とあり、リーダーとしてストレスを感じるのは当然のこと、と語られています。
他にも、
・後輩を厳しく指導するのは本人のため
・逆境に立たされたら、自分の本分と覚悟を決めよ
・得意な時に調子に乗るな
・些細なこともつまらない仕事と疎かにするな
・一生涯を通じて「大きな志」からはみださない範囲の中で工夫する
・智、情、意のバランスを取れ
・お金はよく集めて、よく使い、社会を活発にしよう
・自分を磨くことは、現実の中での努力と勤勉によって、知恵や道徳を完璧にしていくこと。しかもそれは自分一人のためばかりでなく、一村一町、大は国家の興隆に貢献するものではなくてはならない
など、今でも十分通用する金言がたくさん載っています。
更に女性活躍にも積極的で、人口の半分は女性だからと、現在の女性活躍に繋がるところもあります。
本人は女性関係だけは、だらしなかったそうですがw
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