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カロリーベースの食料自給率 [よのなか]

多くの知識人が指摘していることですが、日本の食料自給率の低さ(=40%弱ぐらい)はカロリーベースで試算しているからです。

総合食料自給率の計算方法には2つあり、日本が採用しているカロリーベースのものと、生産額ベースのものがあります。
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【kousyoublogさんより引用】

H17年度時点の自給率で、カロリーベースで40%なのに対し、生産額ベースだと69%に跳ね上がります

また畜産物のカロリーベースの自給率の計算は、飼料の自給率を含めた計算をする必要があります。
そのため、品目別自給率が高くても、カロリーベースに換算すると非常に低くなってしまう場合があります。
例えば、2003年度の鶏卵の品目別自給率が96%と高いにもかかわらず、採卵鶏に対する飼料自給率が9.7%と低いために、カロリーベースの自給率としては9%という非常に低い水準にしかならない点に注意する必要があります。

最後に知識人が指摘するのは、石油の問題があります。
日本の石油の備蓄は約180日分しかないので、結局日本が戦争状態などで石油が輸入できなくなる自体となれば、食料自給率をいくら高くしても、トラクターなどを動かす燃料が先に無くなってしまうので、意味がないというのです。


以上をもって、自給率の低さを強調するのは農林水産省による国民誘導であるというものです。


確かにこの指摘は一部分では正しく、カロリーベースでの自給率の低さを強調し国内農業を守ろうとする行政と、少しでも安ければ外国産でもOKという消費者との確執を生んでいます。

一方で、石油などのエネルギーがなくても人手と農耕地さえあればなんとか食っていけるというアナログ的思考と、結局は人間が生きていく為に必要なのはお金(生産額)ではなくカロリーであり、食料自給率の低さは外交的弱みにもつながるのではないか、という反論も可能です。

***

ここで私が加えて指摘したいのは、カロリーベースを計算する際の分母となる「国民一人1日あたりの供給熱量」です。
これは日本人の口に入ったカロリーではなく、供給されたカロリーです。
つまり、食べ残しや廃棄が計算に入っていないのです。
06sh0101280f.gif
上図の青線が供給熱量、赤線が摂取熱量=日本人の口に入ったカロリーで、その差が食べ残しや廃棄(計算方法が違うので目安)となります。


私としては、行政が日本国家のことを本当に考えるのであれば、食料自給率を上げる為に食べ残しや廃棄というものをいかに減らすかという点を真剣に考えていくべきだと思います。

ただ、電気会社が自社の売上を伸ばす為にオール電化などを推進し、原発事故がなければ決して節電などと言わなかったのと同じで、食料の無駄を見直すことは農業の生産量を減らすことと同義となり、引いては自らの縄張りが縮小することになるので農水省は決して食料の無駄見直しは言わないでしょう。


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コメント 2

don

なるほど、石油の問題がありましたね。
自国でまかなえるエネルギーに行き着かないと、
どうしようもないですね。

言われてみてはじめて気付きました^^
by don (2012-05-26 13:23) 

mino

donさん、こんにちは。
原発がこんな状況になった今、火力発電による石油・石炭依存は高まっています。

縦割りではなく、横断的に判断できる情報の提供、人材の必要性が高まっているのかもしれませんね。



by mino (2012-05-27 10:50) 

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