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成長戦略にみるデフレの原因 [よのなか]

「新たな」成長戦略が策定されました。

ここ数年、前の民主党政権下でも、その前の自民党政権下でも、成長政略が作り続け
られています。
通常「戦略」とは数年程度のロードマップで描かれますが、毎年首相が変わる毎に作り
直されています。
官僚の皆様、お疲れ様です。

こうなってくると、そもそも「戦略」って何だっけ?ていう話になってくるのですが、
私の理解では「戦略」とは、「方向性の提示と外部環境を把握した経営資源の適正な配分」です。

つまり、進むべきゴールを指し示し、選択と集中を行うことです。

一般的に人口減による国内市場の成長が見込めない日本(移民政策は日本の国民性や歴史を
考えると難しいですし、日本の強みである高度な均質性が失われて、混乱を招くだけなので、
すべきではないと考えます)では、成長する為には海外市場からパイを取ってくるしかありません。

その為には、「国内での新陳代謝を促進し、イノベーションを活発化し、グローバルで活躍できる
企業・人材を多く育てること」が肝要となります。


アメリカは冷戦の終結により、経済のグローバル化にシフトしました。
新自由主義を礼賛している訳ではありませんが、世界のルールはここアメリカが主導しています。

グローバル資本主義の本質は、競争相手が未熟で、消費者がたくさんいる市場=新興国市場から
収益を吸い上げることです。
民間企業による帝国主義と言っても差し支えないでしょう。
その為には、相手国には保護主義政策は撤廃して貰い、自由貿易の方が都合がいいので、
TPPなどが推進されます。


さて、首相官邸において発表されている<成長への道筋>を見てみましょう。

g03.jpg

・民間の力を最大限引き出す
・全員参加、世界で勝てる人材を育てる
・新たなフロンティアを作り出す

「おお、正にその通りだ」と思うのですが、ここからのブレイクダウンが良くない。

ロードマップや中短期工程表を見てみると、いかにも総花的です。
戦略の要諦は、「選択と集中」にも関わらず、です。

詳細プランの落とし込みは、各省庁の官僚が作成します。
(官僚を無視すると、はっちゃかめっちゃかになると民主党政権が証明してくれました。)
各省庁には、もちろんそこで働く官僚の皆様もいますし、地元の支援を受けた族議員が存在し、
その下には大企業がぶら下がり、そこには大勢の社員と無数の中小企業をぶらさがっています

それらの雇用や利権や秩序を考えると、各省庁が上げてきたプランを切ることができず、
結局は全て盛り込む形となってしまいます。
自民党は長年、農家や医師、企業などによる業界利益団体に依存してきましたので、
7月に参議院選挙が控えている手前、大胆な手法は取りにくいという事情もあります。

自然と、「イノベーションのジレンマ」、「成功は復讐する」という言葉が浮かんできます。

ブレーンとなる官僚自身、組織に属している以上、自らの組織や出世を否定することは不可能です。
なんとか新しい予算を獲得し、先輩社員の行く末を案じ(トップの事務次官は同期で一人しかなれ
ない)て、出向先を作り出して上げなければなりません。

人は、精神が異常でない限り、カッターで自らの身体を傷付けることはできません。
つまり、誰が悪いとかではなく、日本はもっと追い詰められない限り、自ら変わることはできない
のです。

個人でできることは、国に頼らず、グローバル企業に雇われるか、自らグローバル人材となるか、
国内の競争に巻き込まれにくい高収益なニッチ市場もしくは寡占市場で生きていくことです。
「幸せって何だっけ?」と問い直して、収入一辺倒ではない多様な価値観の中で生きることも
一つです。

デフレの原因は、人口減やら色々言われていますが、自ら変わることのできないジレンマに陥った
日本の将来を悲観して、高齢層が自己防衛の為に貯め込んだお金を使わず、若年層が堅実な
生き方を志向しせっせと貯蓄して消費しない為に、企業の設備投資に結びつかないことが、
一番の要因ではないかと思います。

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