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『勝負心』 渡辺 明 [本]


勝負心 (文春新書 950)

勝負心 (文春新書 950)

  • 作者: 渡辺 明
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/11/20
  • メディア: 新書


★★★

たまたま、なんだと思いますが、将棋界を代表する人の著作が連続して出ていたので、続けて読みました。
物事を達観し棋士同士の間でも別格視されている羽生さん、豪胆のように見えて意外と繊細な森内さん、そして論理的で現代っ子の渡辺さん。

1984年生まれの渡辺さんは、周りが殆ど先輩棋士の中お菓子を食べるタイミングも失礼にならないように気を遣っている一方で、論理的でないことには先輩の言であろうと一刀両断。
私は以前から、米長哲学には素直にうなずけなかった。なぜなら、あまりにも非論理的な内容だからである。
確かに、何となく格好良くは聞こえる。しかし、理論に基づいた考え方を好む私には、非論理的な表現に思えてならないのだ。

大事なのは、仮に偉大な先輩の言動や考え方であっても、自分が納得できなければ従う必要はない、ということだ。もし受け入れるなら、十分に納得したうえでそうすべきだ。そうでなければ、その考えや言葉も自分自身のものとはならないからである。

その上、緊張感漂う対局者との移動中の乗り物の中や、タイトル戦前日の会場でも趣味の競馬の話をしているのですから、何と扱いにくい現代っ子でしょう笑
実力も超一級なのですから、先輩棋士としてはやり辛い。。。

26歳の年齢制限ギリギリでプロになった岡崎棋士のことを尊敬するようなことを書いた直後に、「将棋の世界は20歳で将来が見えてしまう厳しい世界」とバッサリ。
自身は史上4人目の中学生プロ棋士となり、20歳で棋界の最高位と言われる「竜王」位を獲得し、そこから9連覇しています。

更に、勝負の世界では誰もが気にする、ツキや「調子」など気にしないというデジタル世代。
対局に臨むにあたって、ゲンを担ぐかわりに、次のことを心がけている。
まずは事前の研究による入念な準備。
次に、対局日に向けての体調管理。
最後に、対局場まで無事に辿り着くこと。
この3つが重要と考える。対局が始まってしまえば、勝つも負けるも、あとはすべて実力である。

一方で、準備の大切さを繰り返し述べています。
これはどんな仕事でも通用することでしょう。

どんなにメンタルが強い人でも、平常心を欠いては正しい判断ができなくなってしまう。そういう状況に陥らないためにも、「想定外」を想定しておくことが重要なのである。

電王戦でのプロ棋士達の完敗が記憶に新しいコンピュータ将棋も、敵ではなく共存可能な存在と言い切ります。
こうした次世代が新しい世の中を作っていくのでしょう(私と歳3つしか変わらないけど・・・^^;)。
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