『稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方』 大前 研一 [本]
★★★
大前研一さんの本。
タイトルは『稼ぐ力』。
それだけで、これまで大前さんの本を読んできた人には、本の内容の7割は推察できそうですが、実際7割は想定通りです笑。
でも、大前さんが凄いのは随所に本質を突いた見方を示してくれるので、やっぱり外すことはできません。
今でも、世界で何が起きているのか分析する為に、1日500本のニュースを読んでいるそうです。
この本は『週刊ポスト』の連載を中心に構成されているので、話題があちこちに飛びますが、マッキンゼーで大手企業のコンサルティングを担当してきた人とは思えない程、大手企業や日本政府に手厳しい発言が相次ぎます。
日本企業は政府に対して「面従腹背」で、経団連のトップに名を連ねているような企業は、安倍首相の賃上げ要請に唯々諾々と従う一方で海外に巨大工場を建設し、国内事業が厳しくなっても自分たちだけは生き延びていけるような体制を着々と整備している。
GEやIBMやネスレなど欧米のグローバル企業は、そういう給与体系の問題を適正化するために何十年もかけてさんざん試行錯誤した挙げ句、いろいろな調整弁の付いた今日の複雑な仕組みを作り上げてきたのである。それを実際の適用範囲は一部の上位職層に限るとするものの、あまりにシンプルに「世界第一」を前面に打ち出す説明をした柳井さんは、世界企業のこの30年くらいの血と汗の物語に疎かった、と言わざるを得ない。
本社部門が、役所と似ているのは「仕事量は与えられた時間を使い切るまで膨張する」、言い換えれば「人の数だけ仕事が増える」というパーキンソンの第一法則が当てはまることだ。
私が企業の関節業務を簡素化するコンサルティング業務を請け負った時は本社部門の人員の25~40%削減を目指し、まずはフォーマットの統一からスタートする。そうやって重複する間接業務をどんどん整理していくと、人員を25~40%削減しても、業務には何の支障もないのである。
グローバル企業を目指すなら、社長から見た時のお客さんまでの距離が、どの国でも同じでなければならない。国内と海外を区別しないで、お客さんがどこにいるか、を組織に反映しなくてはならない。世界に日本のような大市場がいくつあるか、という発想で、地域別ではなく国別対応にして、それぞれの国に国内同様の経営資源(ヒト、カネ、商品)を注ぐべきなのだ。
電子書籍リーダー「キンドル」を販売しているアマゾンは、いつの間にかキンドルのアプリをアップストアからiPhone、iPad、iPod touchに無料でダウンロードできるようにした。アマゾンは、自分は小売屋に徹してハードはアップルに寄生する道を選び、キンドルをiPadなどのアイコンの一つにしてしまったのである。ユーザーはiPad上の無料キンドルでアマゾンのキンドルストアから電子書籍を購読しているわけで、これだとアップルにはマージンが全く入らない。
マックはプライシングが歪んでいる。ハンバーガー単品の値段は100~490円でそれ相応だが、そこに原価が安いコーラなどのドリンクとフライドポテトを付けた「バリューセット」になると、途端に480~790円に跳ね上がる。実は「バリュー(価値ある)セット」とは、マックにとっての「バリュー」でもあるのだ。
マクド(関西出身者はこう呼ぶ笑)程、CMと現物の商品のギャップが大きい商品はないですよね。
CMではジューシーで盛り付けも綺麗でおいしそうだけど、実物はパサパサで盛り付けもおてなりの不味いこと。。。
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